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忘年会のネタによく使ってます

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大学の先輩がよく物を書いているんだけれど、
読んでみて面白かったのでそのまま掲載しちゃおうかと。
ちなみに、彼には確認済み。
是非、使って欲しいとの言葉をいただきました。
反響が良かったら連絡して、たまーに原稿を貰おうかなぁ。

長いので追記にしてしまいます。
【ハルノカケラ】


蛇口をひねるとすぐにお湯が出てくる。
これは先進国でしか味わえない特別なことだということをアジアをぐるぐると回っていたときに思い知った。
東南アジアの国々では一番有名なホテルに泊まってもすぐには温かいお湯は出てこなかったりする 。

だから、大学に入ってから付き合いが続いている郁美の家でシャワーを浴びると温度が一定じゃないお湯が出てくるので思い出してしまう
僕が旅行した国々は、雨季と乾季に別れ、日本のような繊細な季節の変化はなくて市場に行ったときに出回る食材や祭日などのイベントで時の移り変わりを感じるしかない
今日みたいに春だから花見をするという文化もあまりなかった

頭からつま先までしっかりと洗ってから、髭を剃って風呂場から出た
郁美は窓際で外を見ながら煙草を吸っていた
僕はそのすぐ隣に座わり、彼女が何を見ているのかが気になって窓の外を見てみたけれど、そこには普通の住宅街があって他には何もなかった

彼女は僕を気にすることなく窓の外を見ていた
テーブルの上にある彼女と同じ煙草に火を点けてゆっくりと吸う。この煙草は最初にしっかりと火を点けないと途中で消えてしまうのだ
僕が煙を吐き出したときに彼女は窓の外を見続けながら
「私の部屋で煙草は吸わないで。煙たくなる」
といった
「だって、君は吸っているじゃないか」
反論すると
「私は特別なの」
と、言って今まで僕の吸っていた煙草を取ってもみ消した

僕はまた箱から煙草を1本取り出して火を点けながら
「一人吸うのも二人吸うのも変わらないよ」
と言った
「今日食べたご飯だって、一人で食べるより二人で食べる方が美味しいし、映画を見るときだって、一人より二人の方が楽しい」
火が点いた煙草をゆっくりと吸った
でも、彼女はその煙草を取り上げてやっぱりもみ消した
次に煙草に火をつけてもすぐに消されてしまうだろう
「桜だって二人で見たから楽しかったんじゃないの?俺は凄く楽しかったけれどね」
また煙草を消されてしまい、少しいらつきながら彼女に言った
相変わらず彼女は窓の外を見ている
「窓の外に何が見えるの?」
僕は気になっていたから彼女に聞いた。僕の話を聞いているのか聞いていないのか分からない態度をとっていたから、よほど面白い物があるに違いないと考えた
「特に何も」
彼女は素っ気無く答えた
「何も無いのに窓の外をずっと見ているの?」
「そう。見ているの。」
「本当は何か面白いものがあるんじゃないの?」
僕は彼女の横顔を見ながら言った。右耳に銀のピアスがあって、薄暗い部屋の中ではきらきらと光って見える
「本当に何も無いの。」
「ふうん。窓の外を見ることが楽しいんだ。変わっているね」
「私は特別なの」
彼女は煙草の灰が落ちるのを気にすることなく外を見続けていた。僕はその灰をそっと灰皿に入れて彼女の横顔を見続けた
彼女の煙草が根元まで灰になった頃に
「あなたは私の横顔を見ているのが楽しいの?」
右手にある煙草を灰皿に入れたあと、僕の方を見て言った
「君を正面から見れなかったからだよ」
「私を正面から見れないと横顔を見るの?」
「特に理由なんてないよ。僕は君が見たかっただけだよ。だから海を渡って遠くから真っ直ぐにここに来た」
「わざわざ、海を渡って私のところに来るつもりだったの?」
「そう」
煙草を我慢できなくなった僕は煙草に手を伸ばしながら言った
「君は特別なの」
なかなか火が点かない煙草とライターを彼女は僕から取り上げて、火を点けてから
「私は特別?」
と、確認するように聞いてくる
「君は特別」
そう答えると、彼女は微笑みながら煙草を僕にくわえさせた
「私は特別なの」
満足そうに言ってまた窓の外を見た
彼女が僕にくれた煙草はフィルターが少し湿っていたけれど、今まで吸った煙草で一番美味しかった
僕は彼女の横顔をまた見た
「もう一回、聞くけれど、窓の外に何が見えるの?」
「そうね、さっきとはちょっと違う風景が見えるわ。あなたにも違う風景が見えるんじゃない?」
彼女はさっきとは違って口元が緩んでいる
「そうだね、さっきとは違う風景が見えるかもしれない」
「あなたも私にとっては特別なの」
そういって彼女は窓を開けた
部屋に貯まっていた空気が外に押し流されて新しい冷たい空気が入ってくる。その空気には、多分、気のせいかもしれないけれど、ほんの少しだけ桜の香りがした。
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2006/12/18(月) 20:50 | | #[ 編集]
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